赤い扉(ホラー)
安田のノートを覗き込み、わざと大きな声でそう言う。


「うるさいよ」


安田がクールにそう返すが、「マジ下手、見てみろよ」と皆に声をかけて行く。


数人に覗き込まれながらも、安田は黙々とノートにスケッチしていった。


しばらくして、「……何描いてんだコイツ」と一人が眉をよせる。


「さぁ……」


「おい、大丈夫かよ」


肩を強くつかまれ、安田は我に返る。


「え?」


目をパチクリしてペンを止めた。


ノートを見ると両ページに大きく女の子の絵がリアルに描かれていて、一瞬息を飲む。


「なにこれ、お前の妹?」


眉を寄せてそう聞かれても、返す言葉がない。
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