赤い扉(ホラー)
こんな絵、描こうと思って描いたのではない。


それにまるで写真をそのまま絵にしたような女の子なのだ、絵心、なんて言葉さえ知らない安田にかけるハズもない。


「ハハハ、でもお前うまいじゃん」


バシバシ背中を叩いてくるクラスメイト。


けれど、安田は頭の中にあるモヤのようなものが気になり、再びペンを取った。


頭に浮かぶがままを、手が動くがままをそのままノートに描く。


リアルに描かれていたその絵は更にリアルさを増していき、まるで生きている人間のように微笑む。


「まだだ……」


安田はそう呟き、持っているペンで色を足していく。


「うおぉすげぇ」


色をつけたその絵はまさに生き写しで、いつしか安田の周りにはほとんどの生徒達が集まっていた。
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