赤い扉(ホラー)
「違う……」


しかし、安田は目の前のノートしか見ずに、色を加える。


違う、違う、違う……! この色じゃない。こんな赤色じゃない。


何度も何度も赤色を塗りなおす。けれど、一本のペンでは出ない色なのか、次々に色を混ぜていく。


もっと濃く、もっと深く、もっともっと、そうまるで人間の血のような赤……!


安田は両目を真っ赤に染め、口の端を上げ、何かに取り付かれたように赤色だけを塗りたくる。


汗が流れようが、周りがうるさかろうが、今の安田には何一つ関係なかった。


「これだ!」


思い通りの色が出来て、そう叫び、ペンを置く。
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