赤い扉(ホラー)
「いえ、大したことじゃないです」


言いながら、作った笑みを見せる。


「その笑顔にはだまされないからね。あ、まさかタバコ?」


サヤカが眉を寄せ、国方の口元に鼻を持っていく。


「違いますよ」


幸いにも、今日はタバコを一本しか吸っていないしその後にアメを食べた。


「甘い匂いで隠したな?」


鋭く見破り、そう言うサヤカに国方は「さぁねぇ」と首を傾げて見せた。


「全く、別に吸うなとはいわないけど、学校じゃ吸うな。


いちいちバレて怒られるのも面倒だろ?」


言いながら、サヤカは国方をどかせてドアに近づく。


「あれ、その教室何かあるんっすか?」


「あるから開けてるの。そろそろ授業終るから教室に戻って掃除くらいしな」


「あ、俺今日は調子悪くて六時間目で早退ですから。で、この教室って何に使われてるんです? 前ここで女の子見たんっすけど」


「女の子? あんた目がおかしいんじゃない?」


サヤカが軽く笑ってそう言い、カギを開けた。
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