赤い扉(ホラー)
サヤカはひとつ椅子を出し、それに腰を下ろす。


「それで、先生はこの教室を何に使ってるんです?」


「何にも。ただカギを管理して掃除しに来るだけ」


その言葉に「もったいない」と思わず呟く国方。


けれど、これだけ綺麗な教室を自分の自由に使えと言われれば、それはそれで困るかもしれない。


「さぁ、病人ならもう帰れ。どうせホームルームにも出ないんだろ?」


「やだよ、俺帰らねぇ」


「あんたねぇ」


呆れた表情をするサヤカに対して国方はニヤリと微笑み、「先生、ここに幽霊が出るって知ってる?」と聞いたのだった。
< 81 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop