赤い扉(ホラー)
「あの子……」


サヤカが呟く。


昨日、この病院で見かけた女の子だ。


「いつからいたの?」


ここにずっといたのだろうか? でも、全く気づかなかったのに。


女の子は無言のまま寝ている勇気に近づき、ニッコリと微笑んだ。


「お父さんのお見舞い」


と、女の子が勇気の手を握る。


その瞬間、りえの表情が強張る。


「お父さん?」


「うん。リエのお父さんだよ」


無邪気な笑みを見せて言う。
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