赤い扉(ホラー)
「じゃぁお母さんは?」


サヤカの質問に、俯き口を閉じる女の子。


「リエなんて名前ウソなんでしょ? 人の話盗み聞きして私の真似してるんだわ、嫌な子」


と、りえがはき捨てるようい言った。


本当はさっきから背筋が寒くて、今直ぐにでもこの病室から逃げ出したい気分だった。


「そうなの?」


もう一度、サヤカが優しく聞く。


すると、女の子は顔を上げ、真っ直ぐにりえを見つめる。


「なによ……」


その目に圧倒され、背中に壁がつくまで後ずさりする。


「私のお母さん、三年前に死んだの」
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