赤い扉(ホラー)
一言、そう言う女の子。

その瞬間、誰もが言葉を失い、女の子は続けて言った。


「言ったでしょ? 私の名前リエだって」


サヤカ、ソラ、りえの三人は何も言えない。何も返せない。


りえの母親が三年前に死んだと知っているのは、学校内でもこの三人だけなのだ。


それなのに……この子は一体……?


「いや……」


りえが小さく呟く。


「りえ?」


サヤカがりえの異変に気づき、立ち上がる。


「私がりえよ……あなたなんかにお父さんはあげない!」


頭をかかえ、そう怒鳴るりえ。


「違う、リエは私。リエのお父さんだもん!」


「違うわ! 誰よあんた! 出てって! 出てってよ!」
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