赤い扉(ホラー)
一通り三年の教室を見て回ったが、どの教室にも人はいなかった。


国方のことを思うと、図書室なんか行かないだろうし、今日は屋上も閉まっているし。


そう考えると残りは地下室だけになってしまう。


ソラはどうしようかとウロウロ歩き回りながら、国方の携帯番号くらい聞いておけばよかったと後悔する。


しばらくその場で困っていると、前方から見覚えのある男がやってくるのが目に入った。


「安田……」


少し嫌な顔をし、ソラは呟く。


けれど、安田はいつもと違い、なにやら慌てている様子に見えた。


「ねぇ、どうしたの?」


すれ違い様、ソラが声をかけると、一瞬「ひゃっ!」と声を上げて飛び上がる。


どうやら、ソラの姿も目に入っていなかった様子だ。
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