『西方城重臣・小倉主膳介という武士』
2、殿様からの依頼

「小倉主膳介様がおみえになられなした。」

家臣(かしん)、紅延章佐野助(こうのしょうさのすけ)が、殿様に告げる。

「きたか。はやく、通せ。」

章佐野助は、はいっと短く答え、襖(ふすま)をあけ、主膳介を殿様のいる部屋に通す・・。

「小倉主膳介、まかりこしました。」


床に手をついて、丁寧な口調で言って顔を上げる・・。


「久しぶりだの・・。
主膳介・・。元気そうで何よりじゃ・・。」


穏やかな顔で主膳介に向かっていう。


「殿様もご健全でなによりです。」


口元を緩めて笑う。



「 我が異母弟(おとうと)にわしからたのみがある・・」

きっとした、真剣な顔で主膳介の顔を見る。


「なんでございましょう・・」


「わしの民を苦しめる、妖怪退治をしてくれないか・・。」
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