竜宮ランド(短編)
「あ、やっぱ竜宮仙人だったんだ!」


僕は思わず叫んだ。



「いかにもワシは竜宮仙人じゃが。お主とはどこかで会ったかの?」



――フン、とぼけやがって。



「何言ってるんだよ。さっき、アサリを取ってくれたじゃないか」



「アサリ? フフフ。まあ、よい」



竜宮仙人は謎めいた微笑を湛えた。



「それよりここは……!?」


僕は何十メートルか先にある大きな看板に今頃気付いた。



"竜宮ランド"


テレビで見たのと一緒だ!



「今日はお主の貸切じゃぞ」



竜宮仙人はそう言うと、流れるような足取りで竜宮ランドに歩を進めていった。


僕は内心で喝采を上げた。


何だか分からないけど、転んだ拍子に静岡の海岸から憧れの竜宮ランドにジャンプしてきたんだ!

おまけに貸切だって!?

先週テレビで見たときは入場制限で入れない人たちもいたって言うのに!!
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