相合い傘
プロローグ.
梅雨に入ると、必ず、相合い傘をしている人たちが目に入る。
幸せそうに笑って、傘で隠してキスしてる人たちがそこら中にいた。
そんな人たちが、羨ましくて、羨ましくて、同時に鬱陶しかった。
なんで皆、好きな人の好きな人になれるんだろう。
大切にされるんだろう。
いくら考えても、その答えは綺麗事でしかなくて、ただ一つ確信を持って答えることの出来るのは、
あたしじゃ無理だって、ことだけだ。