相合い傘

コーヒーの香り








「北岡 果穂です。今日からよろしくお願いします」






喫茶店の小さな窓から見える木は、薄いピンク色の雨を降らしていた。

春の終わりを告げている。




由里子に誘われたバイト先は、小さな喫茶店だった。


街外れの自然のある場所に所狭しと建っていた。


木製で、白いペンキで塗られている。
〝自然と調和”しているようで、深呼吸をすると、心がほっと和んだ。

小さいけれど、きっとここは、沢山の人から愛されているんだろうと、すぐにわかった。





店長の小柳さんは、由里子のお母さんのお兄さん。

夫婦で、この喫茶店を経営しているらしい。



本当は、由里子は高校に入ってからすぐにここで働きたかったらしいのだけれど、まだ高校生活に慣れないうちは、やめておけと反対されていたらしい。





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