愛なんてない
「弥生ちゃん、昨晩はいったいどうしたの? 圭介が顔色を変えてあちこち探してたわよ」
咲子さんが心配げにわたしに訊いてくる。
「大丈夫? 何か事件にでも巻き込まれなかった?」
そういう咲子さんもお化粧で隠してるけども、目が赤い。
きっと寝ないでお兄ちゃんと一緒にわたしを探してくれたんだ。
流石にわたしも良心がズキズキと痛んだ。
大切な結婚の前日に2人にこんなに心配を掛けてしまうなんて、なんてわたしはバカだったんだろう。
自分のコトしか考えてなくて身勝手で。本当に子どもだ。