愛なんてない
「麻美ちゃんの家にも直に伺ったのにいなくて。本当にハラハラしたわ」
「え」
まさか電話じゃなく麻美の家に直に行ったなんて。
わたしは顔から血の気が引く思いをした。
麻美とは外泊する必要がある時、お互いの家に泊まるふりをする約束をしてる。
けど、それはあくまでも電話された時だけ。
直に家に乗り込まれるなんて麻美にすれば予想外で、お兄ちゃん相手に誤魔化しなんて利かなかったんだろうな。
麻美にまで迷惑かけちゃった。
わたしは自分の浅はかな行動でどれだけ周りに迷惑を掛けたか考えて泣きたくなった。