愛なんてない






それなのに。


相良先生はわたしの予想を裏切る返答をした。


「初めまして。私は弥生さんが通う高校の国語教師で相良 京と申します。
昨晩は弥生さんをお預かりさせていただき、またご結婚とお伺いしましたのでご挨拶に窺わせていただきました」


「先生……!」


わたしは思わず相良先生のシャツの袖を引っ張ったけども、それは無駄で。先生は滔々と淀みない挨拶をした。


先生、どうして明かしちゃうの!?


ただの知り合いって答えればいいだけなのに。


わたしのために責められて欲しくないのに。



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