愛なんてない
……気持ち悪い……吐きそう。
「あら、弥生ちゃん。今日は好きな豚のショウガ焼きよ。食べないの?」
「あ、はい……食べます」
夕食の席でいつになく咲子さんは上機嫌で、わたしはそれを損ないたくなくてせっせとショウガ焼きを胃に詰め込んだ。
胃がムカムカする……。
「弥生ちゃん顔色悪いわよ? りんごジュースなら飲めるかしら」
「あ、ありがとうございます」
そう言って咲子さんが用意してくれたりんごジュースを受け取ろうと手を伸ばした瞬間。
ふっと香ったものに、ピクリと体が反応した。