愛なんてない
足が痛くなってきた。
すっかり雨を含んだセーターやズボンは肌に張り付いて冷たい。
吐く息が白くて時々横切る車のヘッドライトに浮かぶ。
「イタッ……」
かかとの上にズキズキと鈍い痛みがあり、じんわりと滲む熱いもの。
たぶん靴擦れができた。
でも、わたしは痛みに構わず足を引きずりながらただひたすら歩いた。
体力がなくてふらつきながらも、ただ1人に会うために。
何時間歩いたかわからない頃、漸く見覚えがあるアパートが見えてきた。