愛なんてない






だるい……体が熱っぽい。


でも、ひと目だけでもいい。逢いたい。


わたしは足を引きずり重い体をなんとか動かしながら、目的地をひたすら目指す。





……あった。




「105号室 相良 京」


時間はわからない。


けど、わたしは何度かためらいながらチャイムを鳴らした。


逢いたくて。


ただひと目逢いたくて。


そうしたら、わたしは。





「はあい……」


京の声がドア越しに響き、わたしの全身が戦慄いた。


声だけで、どうしてこんなにわたしは……。


< 210 / 412 >

この作品をシェア

pagetop