愛なんてない
だるい……体が熱っぽい。
でも、ひと目だけでもいい。逢いたい。
わたしは足を引きずり重い体をなんとか動かしながら、目的地をひたすら目指す。
……あった。
「105号室 相良 京」
時間はわからない。
けど、わたしは何度かためらいながらチャイムを鳴らした。
逢いたくて。
ただひと目逢いたくて。
そうしたら、わたしは。
「はあい……」
京の声がドア越しに響き、わたしの全身が戦慄いた。
声だけで、どうしてこんなにわたしは……。