愛なんてない
困惑気味の相良先生の声は明らかに狼狽してた。
やっぱり、困るんだな相良先生。
あたりまえだよね。
わたしの兄嫁の浮気相手なんだから。
わたしは笑顔を崩さないように気をつけながら言った。
「……こんな夜中にごめんなさい。ただ……顔が見たかっただけなんです」
「……………」
相良先生は押し黙ったままわたしを見ていたけれど、ポツリと口に出した。
「……帰れよ」
相良先生はザクッと言葉の刃でわたしの胸を切り裂いた。
「もう気が済んだなら二度と来るな。迷惑なんだよ!」