愛なんてない
けど、おばさんが来てくれて助かった。と安堵したのだけど。
京は姿勢を正しておばさんに向き合ったものの、わたしの手を離さず名乗った。
「私はこの学校の国語教師で相良 京と申します。新年度からは2年1組の担任も受け持たせていただきます」
「それはそれは。私、宮沢 麻美の母でございます。いつも娘がお世話になってまして」
おばさんが丁寧に頭を下げている間に、京はさり気なくそつないことを返した。
「ええ、宮沢さんとそれから望月さんの担任ですから、望月さんから退学のお話を今初めて聴いて非常に驚いています。
新担任の私としては、いろいろお話を望月さん自身から直接伺いたいものですが」