愛なんてない



え、とわたしが体を硬直させた隙に、京はわたしの腰を見えない角度で引き寄せた。


「あ、そうですか。ではわたしは車でお待ちしておりますわ。弥生ちゃん、しっかりとお話してきてね」


まるで蛇ににらまれたカエル。


おばさんはわたしがどんな目に遭ったか知らなくて、退学の話を聴いて反対してたから、これ幸いとホッとした様子で元来た道をたどって去った。


最後の助けも断ち切られたわたしは……。


< 238 / 412 >

この作品をシェア

pagetop