愛なんてない
「痛っ……」
硬い床に体が叩きつけられ、一瞬息が止まるかと思うほどの痛みが走った。
ガチャン、と固い金属の擦れる音がして、後ろ手に京がカギを締めたのだ、と朧気に理解した。
「……なぜ逃げる?」
再び、無感情な声で京が問うて来た。
なぜ、そんな事はわたしが訊きたい。
なぜ、咲子さんとキスしてたの?
なぜ、わたしを抱いたの?
なぜ、嫌いなわたしに構うの?
わたしは突っ伏したまま、京を見る目に力を込めた。
「……わたしの方が訊きたいです。
どうしてわたしに構うんですか?もう、放っておいてくださいっ!!」