愛なんてない
わたしは悲鳴に近い声を上げ、そのままポロッと流れた涙を隠すために俯いた。
涙なんて見られたくない。
泣いているなんて、認めたくない。
京はただ担任としてわたしに訊いてるだけなんだ。だから、京に涙なんて見せちゃいけないんだ。
「望月」
京の声がわたしを呼び、ぴくんと指が反応してしまった。
馬鹿みたい。
今の京は担任としてわたしに問いかけてるだけ。
わたし個人なんかどうでもいいのに。
半ば捨て鉢な気分になっていた。