愛なんてない
わからない……。
わたしは京が何を考えているのかさっぱりわからない。
でも。
わたしは本当の疑問も気持ちも事実も理由も。何もかも。何一つ京に知らせる訳にはいかなかった。
縋るわけにはいかないから。
だから、わたしは。
わたしから京を拒むしかなかったんだ。
「逃げる理由? 決まってるじゃないですか。
わたしは京が嫌いだからです」
心とは裏腹の感情を、装う。
教卓の縁を手で掴み、肘をついて痛む体を起こし立ち上がる。
そして、侮蔑を込めた目で京を見た。