愛なんてない
ズキズキとする胸の痛みを無視しながら。
言い放った途端……。
京の瞳と顔から全ての表情と色が消えた。
空虚な瞳を見て、ズキンと痛む心。
どうしてそんな顔をするの?
まるで、感情がない人形みたい。
それでも、わたしは自分がすべき事を最優先にして床を蹴った。
鍵が締められたドアに向かって走ったのだけど。
京の脇をすり抜けようとした瞬間、がっしりと掴まれたのは左腕。
あ、と思う間もなかった。
ドアの鍵に集中して油断したわたしは、いとも容易く京の動きに捕らわれる。