愛なんてない






「とりあえずおまえ用の歯ブラシとかコップも買うか」


「え、あ……うん」


なんだかボーっとして夢見心地ななか、日用品売り場で京がわたしに言う。


歯ブラシひとつでも、どんなのがいいかいろいろ言い合いながら選んだ。


楽しい。


日用品はいつもわたしひとりで買ってたから、こんなふうに誰かと選べるなんて想像もしなかった。


「やっぱり固めが歯ぐきにいい」


なんて京の押しで、結果「かため」を選んだわたし。


いつもやわらかめだから歯ぐき傷つけないかな?なんて心配したり。



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