愛なんてない
京のアパートにやって来て、久しぶりなのに不思議と違和感がなかった。
「制服汚れるからこれに着替えておけ」
京はピンク色のスエットを取り出してわたしに差し出すから、ちょっと気分が沈みながら受け取った。
この前アパートにいた女の人のかなあ?
あの時京に激しく拒絶されたわたしは、記憶が蘇って胸がギリッと痛んだ。
関係ない。
京がもしもあの女性と関係を続けようとしても、わたしは何か言える権利なんかないから。
もともとわたし達の間にあるのは負の要因だけ。