愛なんてない



「京……ひどっ……ッ!」


いつまでも笑い止まない京に噛みつこうとしたのだけど。


京はわたしの肩を抱き寄せて、いきなり唇を重ねてきた。


不意打ちに抵抗も出来ず、玄関とキッチンのそばの壁に体ごと押し付けられた。


「やっ……京ッ……」


京はそのまま首筋に唇を落とすと、強く吸って消えない花びらを散らす。


「……行かないと。閉まっちまう」


京はそれだけ呟いて、わたしを解放した。


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