愛なんてない
うたかた~京
「貴様あ! よくも弥生を!!」
俺に弥生の兄である圭介の拳がうなった。
本来ならよけられたが、俺はわざと拳を受けた。
弥生を護れなかったのは事実だ。
肉親ならば怒り憎むのはあたりまえだ。
だから、俺は圭介の繰り出す拳も蹴りも全て受け続けた。
「貴様のせいで、弥生はっ……よくも妹をたぶらかしたな!! 教師の分際で!!」
「がはっ……」
最後に鳩尾に食らった拳のせいか、口から血を流した。
「やめて、圭介! もうやめてよ!!」
咲子が圭介にすがりつき、なんとか止んだが。俺はなんとか気力で立ち上がった。