愛なんてない
ドアを開いた途端にがっしりとした手に掴まれ、包丁を取り上げられそうになったわたしは闇雲に暴れた。
「やだ! 離して!!離してよおぉっ!」
でも、男盛りの男性にまだ未成年のわたしが敵うはずもなく、包丁は取り上げられ、玄関の床に体を押し付けられた。
「離して! 離してよおぉ――っ!!」
それでも手足をばたつかせて暴れるわたしを相良先生は抱えあげ、隣の部屋にいつの間にか敷いた布団の上に放り投げた。
「あうっ!」
思い遣りの欠片もないモノのような衝撃に、わたしの体に痛みが走った。