愛なんてない
京はわたしをそっと横たえると、そのまま覆い被さってキスをした。
「弥生……」
わたしの頬に触れた指がスッと離れ、京はわたしを切なげに呼んだ。
「……もう、止まらないからな」
京は消えそうに囁いたから、私は微笑む。彼が後悔しないことを願って。
「うん……大丈夫だよ」
平気、と言いたくて自分からキスをした。とうに覚悟は決まってたから。
……降り続く雨の音を聞きながら、わたしは初めて京と結ばれた。