愛なんてない
雨の後
……あったかい。
ひとの温もりがこんなに気持ちよくて安心出来るなんて、知らなかった。
心地よい微睡みから目を覚ましたわたしは、京の胸のなかにいると自覚して幸せを感じた。
両親はわたしが幼い頃に亡くなり、お兄ちゃんはわたしを育てるために毎晩遅くまで働いて。
わたしは保育園で一番最後まで残り、保育士の先生と遊んだりしてたけど。
寂しいなんて、抱きしめて欲しいなんて。自分を犠牲にして頑張ってたお兄ちゃんには言えなかった。
だから、わたしは11年ぶりに人の肌はこんなにあったかいんだと理解できた。