不器用な俺だから。
君との出会い

春。
世間一般では、
出会いの季節だの、別れの季節なんて
呼ばれてる。

「…ぃ。」

「おーい! ハルくーん!聞いてんの?」
男の声とは思えない可愛らしい声と共に
目の前でヒラヒラと手が動いた。

「わりぃ。聞いてなかった。なんだったけ?」

「んもぉ。せっかくこの渚くんがお話をしてるのに…」

俺の横でぷすーっと頬を膨らますのは
幼馴染の櫻井渚。腐れ縁で高校まで一緒の仲。俗に言う可愛い系男子。

「ごめんって。んで?」

「今週末って暇?」

いつの間にか開いてしまった身長差を
埋めるかのように背伸びしながら覗き込むのを見ていたら断る理由が見つからなかった。

「うん、まぁ」

すると、目を輝かせて

「じゃあさ、じゃあさ!
買い物付き合ってくんない?」

…やっぱりコイツは小動物だ。

「あいよ。」

…まぁ、この小動物のおかげで君に会えたんだけど。
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