可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
明日行くのか行かないのか。
自分の気持ちがどちらに傾いているのか、答えは出てる。
………だからといって、まんまと渚の目論見どおりに動くなんて癪で。
壁に掛けてある『LiLiCA』のワンピースはそのままにして、ふだん開けることのないウォークインクローゼットから、ずっとしまいっぱなしだったものを次々に取り出した。
タイトで体のラインが丸見えなニットのミニワンピ。
背中がばっくり開いたゼブラ柄のチュニック。
胸元が露わな水着みたいなホルターのトップス。
見せパン必須のミニすぎるスカート。
クローゼットにあるのは、どれもふわ甘清楚系の『LiLiCA』とは真逆の、いわゆる小悪魔系とかギャル系とか言われてるようなショップのアイテムだ。
ババアが「なんて下品なの」って顔を顰めて、「いかがわしい」って罵っていた、みっともないくらい露出多めで無駄に色気を振り撒いた、ビッチテイストな服。
トップスもボトムスもちょっと肌出し過ぎで痴女っぽいし、こういう派手なの、ほんとは全然あたしの好みじゃないんだけど。
去年受験生の頃、ただババアに反抗するためだけに、ババアがいちばん怒り狂いそうだって理由だけで選んで着てたものだ。