可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
『……なにそれ。あたしが七瀬くん好きになるとか?あるわけないじゃん、そんなの』
思わず鼻で笑うと、七瀬由太は怯むような顔をする。
『え、……でもキス、していいわけ……?』
『何度も同じこと聞かないでくれる?する気があるならさっさとすれば?』
なかなか動こうとしない七瀬に言うと、七瀬は意を決したように『じゃあ……』とい言ってあたしの肩に手を乗せた。
…………震えてる。
このひと、まさかあたしがOKするなんて思ってなかったんだ。
その証拠にあたしに少し顔を近づけようとしたまま、動けなくなってる。
七瀬由太は見た目どおり、きっと遊んだことがない純情なオトコノコなんだ。
ほんとは好きでもない女子とキスするのなんて、すごくイヤなんだ。目、泣きそうじゃん。
そんなにイヤなことをしてまで、グループからハブりにされたくないらしい。
七瀬由太にとっては『王様』のご機嫌をとることは何より大事なことなんだ。
………こんな、まるで自分の方が『奪われる』みたいな顔しちゃってるくせに。