可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
---------もしかして、人に来いとかいっておきながら、あいつのほうがサボってたりとか。
そんな面白くもない想像に気を取られているうちに、なぜか佐々木たちがあたしの傍に押しかけて来た。
「ち、ちわ」
話し掛けてきたのは佐々木だ。いつも横柄な佐々木らしくもなく、声が異様に上擦っていた。
でもその顔は妙にご機嫌で、教室では見たこともないような、妙に浮かれたような顔であたしに愛想を振りまいてくる。
「あの、遊びに来たの?俺ら、えっと、今ガッコの行事で来てるんだけど」
言いながら、佐々木は駅に向かおうとするあたしの進路を阻むように正面に回りこんでくる。背後には佐々木の仲間もいるから、そうされると立ち止らざるを得なくなる。
「君さ、すげーかわいいよね。ここらへん、住んでる子?」
「………………かわいい……?」
「かわいいよ、当たり前じゃんッ!!」
疑問系のあたしに、佐々木はすこし食い気味に返してくる。
「あんまかわいすぎて、こいつらなんてビビってたくらいだし」
そういって佐々木はへらへら照れたように笑う。
その顔に冗談を言ってるような様子はない。
今日着てるのはちょい男ウケよさそうな感じの服だし、メイクもちゃんとしてるけど。
----------中身は、『劣化』しきったあたしなのに。