可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

佐々木はしばらく呆然としたまま、あたしをじっと見つめる。

それから髪型を気にするように何度か利き手で自分の髪を撫で付けるようにいじった後。



「マジでただの友達？………は、はじめまして。佐々木朋和って言いマス」


佐々木が表情をあらためて緊張しきった声でそんなことを言い出すから、笑いを堪えるのに苦労した。

渚はすでに肩を小さく揺らしてる。笑いすぎ。おまえが笑ってどうする。



「さっきも言ったけどすげ、か、かわいいね。スタイルいいし。えっとモデルとか？ってか、あの、な、名前は？」



---------あんたが入学早々、『根暗ぼっち』って名付けた女だよ。



心の中だけでそう毒づいて、裏腹ににっこり笑いかけてやる。

すこし首を傾げて馬鹿みたいに媚びまくった、とっておきの笑みってやつを。



その途端、佐々木はもう赤いのを通り越してどす黒く見えるくらいに顔を紅潮させる。



思った以上の効果にあたしが吹き出しそうになる前に、渚があたしの肩を抱いて歩き出す。悪ノリして、あたしも渚の腰に手を回す。

バカップルの出来上がりだ。



「じゃな」



佐々木たちは何か言いたそうな顔を隠せずにいたけれど、王様のご意向に背くことはなくこれ以上絡んでくることはなかった。