可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。


あたしに、出来るかな。

好奇の目に耐えて。平気な顔してたら。いつかほんとに勲章になるかな。




まだあきらめなかったら、あたしがなりたかったあたしにもなれるのかな。

ビッチでゲスでどうしようもないあたしじゃない、違うあたしに。



ちゃんと誰かに大事にしてもらえる、そんな女の子になれるのかな。





「顔上げてろよ。ニカにはそういう方が似合うだろ。……おまえが本気で戦うなら、こんな程度の傷のこと、俺が誰にも何も言わせたりしねぇよ」

「………そっか。王様にそこまで言われると、心強いや」



真剣な渚の言葉を、冗談みたいに受け流すことしか出来なかったけど。

渚の言葉がちゃんと届いたことは、渚にも伝わったみたい。



渚はまるで試合の後で選手たちが健闘を称え合うときのように、あたしの頭をぐっと抱いてくる。

寄り掛かるようにその肩に自分を預けると。今まで感じたこともなかった安堵に包まれていく。




なんでこいつはこんなにやさしいんだろ。

なんであたしに、思ってもみなかった世界を見せてくれるんだろう。






「………あたしに、出来るかな」

「出来るに決まってんだろ。俺が保障してやる」



----------渚といることが心地よさ過ぎる。



「……出来なくて、あたしに失望するかもよ?」

「しねぇし、だったら出来るまで見ててやるよ。ずっとな」



いつもあたしに纏わりついてる雨雲のような憂鬱さが、渚といると晴れていくみたいだ。



「だからあんま勿体ねぇことしてんなよ。こんな上等な顔、隠したりしねぇで学校の奴らにも拝ませてやれよ」


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