可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

不覚っていうか。屈辱だった。



いまさらこんなことくらいで照れたりするほど、あたしにはピュアな感覚残ってないだろうって思ってたのに。
今あたしは、自分の顔が真っ赤になってるのがわかるくらいめちゃくちゃ恥ずかしかった。



こんな公開羞恥プレイなんかをやらかしてくれた七瀬に文句を言ってやろうとして顔を上げると、七瀬の顔はあたし以上にひどいことになっていた。


「………七瀬くんさ。自分でやらせといて、何照れてんの」


いつも以上に言葉が刺々しくなったのは、悔しくも今猛烈に恥ずかしいと思っているからだった。七瀬は話題に出すことすら勘弁してほしいといわんばかりに、顔を手で覆って俯く。


「……ごめん、こういうのって後からじわじわくるんだね。……思ってたよりすげ恥ずかしいかも」



七瀬が余裕な顔して「あーん」をしてくるから、こっちも余裕の顔して乗ってやったのに。これじゃだまされた気分だ。



「自滅してどうすんの?馬鹿じゃないっ」


そんなことを言いつつ、あたしも怒りの矛先をぶつけるようにプラスチックのフォークでマカロニをブスっとひと思いに突き刺してやって、串刺し状態にしてやったそれを食いちぎるようにして食べてやった。




ほんと馬鹿みたいだ。


< 168 / 306 >

この作品をシェア

pagetop