可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
しばらくして唇が離れると、渚の方が戸惑った顔で聞いてきた。
「………おまえさ、なんも感じねぇのかよ」
渚は自分の与えた「制裁」が大失敗だったことより、
自分がキスしても何も感じないでいる女子がいることに驚いているようだった。
「……?今のって、何か感じられるようなレベルのキスだった?」
あたしがそう言ったときの渚の顔は、いまでも忘れられない。
わざと渚のプライドを傷つける言い方をしたあたしに、渚はまるで昨日の七瀬由太のように顔を真っ赤にさせた。
ただし渚の場合、赤くなったのは羞恥じゃなくて怒りのせいだ。
「……てめぇ。久々にオンナに本気でむかついたわ。おまえ、ぜってぇ泣かせてやる」
喧嘩腰にそういって、渚はまたあたしにくちびるを押し付けてきた。
何度もキスされて、くちびるをヤらしく舐められて、舌まで絡められた。
深くキスをしているうちにくちびるは濡れても、渚のそれはやっぱり「乾いたキス」でしかなかった。
「くそッ……この不感症女ッ」
いくらキスしても反応の薄いあたしに、渚はむきになった。
つもりがなかっただけで、あたしの無反応は負けず嫌いな渚をひどく煽ったらしい。