可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「は?バッカじゃない?もうあたしにかまわないで。しつこいよ。………それとも何、もしかして渚はあたしとヤりたいの?そんなに欲求不満?」
人目を憚らないあたしの言い様に、通り過ぎていったカップルがぎょっとした顔で振り返ってくる。
「だったら今からそこのホテルにでも入る?ヤるのは勘弁だけど、手ぐらいだったら渚に貸してあげるから。スッキリしたら、もうあたしのことは放っておいてくれるかな?」
カップルの女の方が汚いものでも見るように眉を顰めて、男の方が驚きつつもニヤニヤした顔であたしを見てくる。自分が見世物みたいになってるってわかったけど、あたしはすぐそばにあるラブホの看板を見ながら、ますます挑発的に渚に突っかかっていた。
「『平日のショートタイム、全室2000円均一』だって。よかったね、すげー格安じゃん?それぐらいなら払えるっしょ?時間も80分もあれば余裕で……………っ…きゃあッ!!」
不覚にもいかにも女の子みたいな高い声で悲鳴を上げてしまったのは、話の途中で渚の大きな手が、あたしの片胸を服の上からいきなり掴んできたからだ。あまりのことに、二の句が告げられない。
渚はこんな白昼の人目もある場所でそんなことをしておきながら、悪びれた様子もなく「すげぇな」とか言う。
「クオリティ高ぇ詰め物だな。この上げ底、本物みたいな感触しかしねぇし」
「ばっ…………な、何すんの、この変態ッ!!」