可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

「…いたッ………!」
「よかった。髪を染めてたわけじゃないんだ」


ウィッグを強引に取り払った聖人はそれを床に放って、ウィッグの下に被っていたネットも無理やり外した。取り出されたあたしの地毛を見て、聖人はうれしそうに目を細める。


「本物はきれいな黒髪のままだ。やっぱり君は頭の悪そうな下品な色より、黒いほうがよく似合う」


それから値踏みするようにあたしの全身に視線を巡らせると、聖人はまた不満の顔に戻った。


「でもこの服はいただけないな。こんな異性の気を引く為のようなはしたない服なんて、ニカみたいな子は着ちゃいけないよ」



そういって聖人はあたしのブラウスのボタンに指を掛けてくる。



「……聖ちゃん、何するの……?」

「僕がいなくなった当初は僕の言いつけをちゃんと守って、目立たない姿でいたみたいなのにね。いつの間に、またこんな下品な恰好をするようになったんだ?」

「……これは、自分が着たくて……………」

「以前も悪い子のフリして、短いスカートを穿いたり水着みたいな服を着たり、よく下品な恰好をしていたね。あれはえり子さんに反抗するためだったみたいだけど、本当は僕の気を引く為でもあったんだろう?悪い子でいる限りは、僕は君を叱るため、君から目を離さないでいるからね」


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