可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
連れて行って
【連れて行って】
聖人は、あの日の続きをしようとしている。
もうババアに邪魔されることもないこの場所で、あたしのことを自分の思い通りにしようとしてる。
キスを差し出したように、体も差し出せば、きっと聖人はずっとあたしのものでいてくれる。そうすればあたしはもうひとりぼっちでさびしい思いをすることもなくなる。
でも。
「………やめて聖ちゃん……」
これがあたしが聖人と真奈美さんの仲を引き裂いた報いなんだとしても、どうしても聖人を受け入れることが出来ない。
ビスチェを脱がされきる前にあたしは震える体を引き摺ってマンションの出口に向かう。聖人はすぐに引き止めようとはせず、悠然とした足取りで追ってくる。
「どこへ行くんだ、ニカ」
「ごめんなさい。……ごめんなさい、聖ちゃん……もう許して……」
みっともなく震えるまま必死に歩いて玄関までたどり着いて。ドアノブを握って、あと一歩で外に逃げられると思った瞬間。
「………きゃあッ」
背後から聖人に抱き上げられてしまう。まるであたしを追い詰めるために、わざとここまであたしを逃がしたと
言わんばかりに聖人は笑みを浮かべる。
聖人はあたしを抱いたまま、すぐ傍の寝室に入ってベッドの上にあたしを投げ出した。