可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「おい、メール気付かなかったか?おまえにサメ、渡すの忘れてた」
------渚だ。
その顔を思い浮かべた途端、もう何も感じまいとしていた心に血が通いだして、目にじわっと熱い涙の膜が出来る。
「悪ぃな、コレ、俺のバッグに突っ込んだままだった。……ニカ?風呂にでも入ってんのか?」
靴を脱ぐ音がする。
-------たすけて。
その言葉が声にならずに喉の奥で消えてしまう。聖人はあたしの上から退こうとはしない。
渚に助けてほしいのに、今の自分の状況を俯瞰して絶望的な気持ちに陥った。
ブラウスの前を開かれて、下着のビスチェも脱がされかかってて、自分のベッドの上で男に圧し掛かられている。
こんな姿、渚が見たらなんて思うか。……最低のビッチだって思うはずだ。
助けてほしいのに。渚にこの姿を見られるのが嫌で相反することを願ってしまう。
-------おねがいこないで。