可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

* * *



『この雌犬ッ!!』


あたしをそう罵ったのは、義母である白鳥えりこ。


『中学生のくせにいやらしいッ。よくも。よくもうちの聖人さんを誘惑してくれたわねッ』


パパとふたりきりで食事に行っているはずのババアがあたしの部屋に入ってきたとき、あたしは洋服も下着も剥かれて、自分のベッドの上で聖人に圧し掛かられていた。


『……ニカ。やっと言ってくれた。僕はね、ずっと。ずっとニカからのその言葉を待っていたんだよ』


聖人はそういって、あたしのことを自分の意のままにしようとしていた。

その光景を目の当たりにしたババアは、聖人の下で泣いて震えていたいるあたしに問答無用で殴りかかってきた。錯乱したババアはそのままあたしの全身に痣が出来るまで、徹底的にあたしを叩いて、蹴って、踏みつけた。




その場に居合わせたパパは、一回り以上も年上でお金持ちで気性の激しい、まるで女王さまみたなババアのいいなり。

ババアに溺愛されてて周りからひそかに『あやつり人形』なんて呼ばれてる聖人も、母親を止めることが出来ずに立ち尽くしていた。


ごめんなさいごめんなさいと泣きながら唱え続けながら、裸のままババアに蹴られ罵倒され打ち据えられるあたしを、庇ってくれる人なんていなかった。



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