可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「………渚」
あまりにも痛々しい、傷つききったリア先輩の背中を見ていられなくて。不安を覚えながら隣にいる渚を見ると、渚はちいさく呟いた。
「あいつはそこまで馬鹿じゃねぇよ」
「……でも。自棄になったときの女なんて、怖いもの知らずだよ。………追いかけなよ」
あたしの言葉に、渚は絶句した。
「………おまえな。今の話の流れでそういうこと言うか?」
「でも。リア先輩がぶっ壊れたらどうするの?ほんとに自棄で馬鹿なことしたらどうするの?あの人、渚の大事な幼馴染なんでしょう」
あたしのまっとうな突っ込みに、渚は煩わしそうに顔を歪める。
「………うっせぇな。そんなん、言われなくても分かってんだよ」
「渚なんて、弱ってる女の味方になってやってる自分にただ酔ってるだけじゃないの?そういう自己満ってすぐに飽きるよ?だからさ、あたしのことなんて放っておいて、リア先輩、追いかけてあげなよ」
「おまえな、可愛げないこと言うのもいい加減にしろよッ」
わざと露悪的なことを言ったあたしに、渚は怖い顔をする。
「もうこっちはそれがおまえの強がりだって分かってんだよ。いい加減、ちょっとは甘えて来いよ」
渚は責めるのではなく、まるで拝み倒すように言ってくる。