可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

わざわざあらためて班決めなんかしなくたって、最初から男子も女子も仲がいい者同士で固まってる。




「ええっと、崎谷さん?」


どこのグループからもあぶれてるあたしに、山根が困ったように声を掛けてくる。


「崎谷さんは班、どうする……?」





-------------どうもしねぇよ。





「あたしは」




HRデーとか、そんなかったるい行事、ハナから行くつもりないし。


『その日、休むから』と言おうとして。





その言葉が遮られた。





「俺、同じ班でもいいけど」




少し離れた場所から声を掛けられた。

あたしだけじゃなくて、クラスみんなが声のした方を向く。




渚の座るいちばんうしろの角席の近く。

明るいハニーブラウンの髪した男子が軽く手を挙げていた。





----------誰?





一瞬にらむように目をすがめて。そのきれいな顔をじっと見て気付く。





--------------七瀬由太……?





また外見がちょっと改良されてて、一瞬誰だか分からなかった。




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