可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。


「へえっ?!」



あたしが何を言うより先に、山根がへんな悲鳴をあげた。



「……あ、あの。由太くん、崎谷さんと、同じ班でいいってこと……?」



山根がすこしオロオロしたように、あたしと七瀬由太を交互に見る。

根暗ぼっちときれいめ系イケメンになんの接点も見当たらなくて、今の七瀬の発言を本気か冗談か判断しかねているようだった。




「そう。だって班決め終わらなかったら、次進めないだろ」




七瀬は淡々と返す。





-----------あいつ、見た目だけじゃなくて、性格もちょっと変わったような。




外見をいじったせいか、七瀬由太は前ほどおどおどしなくなったように見える。

最近は罰ゲームをふられても、「俺そんなのやらないよ」と軽く受け流していたし。


外見以上に、中身が垢抜けた印象。



あたしがそんなことを思ってると、背後から聞こえよがしな話し声が聞こえてくる。





「やばい。由太くんまじやさしくない?いくら崎谷さんぼっちだからってさ」

「ってかむかつく。だったらあたしがぼっちなりたいし」

「でもふたりじゃ班ダメなんしょ?ゆーこも行っちゃえば?由太くんの班」





………だから班とか作っても、どうせあたし行かねぇよ。




そう胸の中で毒づいてると。






「俺もそっち行くわ」





突然あがったその一言に、今度はクラスが騒然となった。




< 35 / 306 >

この作品をシェア

pagetop