可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

あたしが苛立ちを押し殺していると、まるでその代わりみたいに、渚の傍にいた男子がキレ声をあげた。



「はあ?なんで?水原まであっち行くわけ?」



いっつも渚に張り付いてる佐々木だ。

よく自分がモテてるって勘違い発言してる、目立ちたがり屋の痛いヤツ。


顔は悪くない方なのかもしれないけど、渚や七瀬由太と比べてしまうと、イケメンの粗悪な模造品みたいな二流三流の印象。


しかも性格は三流以下。

あたしみたいなヤツが「ない」って思うんだから、ほんと終わってると思う。



なんで渚みたいな男があんなしょうもないのとつるんでるんだろうって、常々不思議に思ってたけど。

渚はちょっと鬱陶しそうに佐々木を見て言った。





「うちの班、多すぎだろ」

「だからって水原抜けることねぇだろ」

「けど俺と由太いなくてちょうどいいくらいの人数じゃね?」

「けど!」



王様に見捨てられかけてるのを悟ってか、佐々木は必死に食い下がる。


馬鹿みたい。


ああいう縋りつくような態度、渚がいちばん嫌がるって、なんでいつもつるんでるくせにあいつわからないんだろ。



< 37 / 306 >

この作品をシェア

pagetop